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Sunoによるキャラクター曲制作:プロンプト構造と編曲上の制約

キャラクター設定を出発点として、Styleプロンプト、歌声、和声、ダイナミクス、楽曲構造の具体的な制約方法を記録する。

Sunoは短時間で楽曲を生成できるが、その結果が企画の要件を満たすかどうかは、生成前の定義と生成後の選定に左右される。本稿では、Sunoを用いてゲームキャラクターのテーマ曲を制作する方法を記録する。人物と物語上の目的を先に明確にし、それをモデルが実行できる音楽上の制約へ変換することが中心となる。

キャラクター設定から音楽の方向を定める

出発点はジャンルではなく人物である。まず、その人物の内面を担う専用楽器を一つ定め、全編を通して配置する。たとえば、ある人物の内的な声部としてヴァイオリンを曲の最初から最後まで継続させる。次に感情の弧を決め、その弧を未解決の状態に留めることも許容する。「誰かを思い出せない」人物であれば、終曲時に問いを明確な答えへ変える必要はない。未完の終止は、その人物の状態により適合する。

別の構成として、鏡像型のアンサーソングがある。同じ関係を二つの視点から二曲に分け、歌詞同士に対応関係を持たせる。人物と物語を先に成立させ、ジャンルはそれらを運ぶ外側の構造として選択する。

Styleプロンプトを構成する六要素

SunoのStyle欄は約1,000文字を入力でき、楽曲全体の基礎制約となる。抽象的な形容詞を重ねるのではなく、内容を六要素へ分割する。

  1. 基準パラメータ:速度、調性、全体の感情を先に確定する。例:68 BPM, minor key, tender sorrow that never resolves;
  2. 編成:楽器と導入時点を指定し、不要な変化を固定する。例:celesta + sparse piano, warm upright bass, brushed snare after the first chorus, no fills;
  3. 歌声の仕様:年齢感、息の量、ヴィブラート、拍に対する位置を記述する。例:youthful breathy female voice, minimal vibrato, slightly behind the beat;
  4. 和声制約:拡張和音と終止の挙動を規定する。例:extended 7th/9th chords, deceptive cadences, never fully resolves;
  5. ダイナミクスの原則:音量ではなくテクスチャーによって緊張を高める。例:tension grows through texture, not volume; the final chorus is the quietest;
  6. 角括弧のネガティブリスト:モデルが逸脱しやすい方向を制限する。例:[no belting, no soaring, no bright pop, no autotune]

第六要素は、Sunoが高音域の誇示、甘いアイドル系の音色、明瞭なピッチ補正へ傾くことを抑える。ネガティブリストは無制限に増やさず、発生確率の高い偏差へ集中させる。

歌声と和声の制約

AI生成楽曲は、印象的で高揚感があり、明るいポップ表現へ初期状態から寄りやすい。人物に必要な抑制を維持するため、次の制約を使用している。

  • 歌声のダイナミクスを制御する:ベルティングを使わず、音量だけで成立するクライマックスを設けない。感情は近接収音の感覚で構成し、終盤は囁きに近い強度まで減衰させる;
  • 和声を懸垂状態に保つ:extended chords(maj7/9/11)、modal interchange、deceptive cadences、不完全に解決する終止を用いる。4536、1645、カノン進行などの定型的なポップ進行を避け、和声に未着地の感覚を残す;
  • 主部とサビの調性変化を慎重に扱う:サビを別の調性中心へ移し、記憶の位相がずれる感覚を作る場合でも、a subtle dreamlike non-diatonic shift, never a triumphant lift と明記する。「転調」が劇的な上方移調として解釈されることを避けるためである。

親密で気怠い声線と室内楽的な質感の主な参照点は、**椎名林檎『私生活』**である。穏やかな物語の弧には、**周深『化身孤岛的鲸』**も参照した。歌声の設計では、甘いアイドル系の音色を意図的に避けている。

四種のStyle開始テンプレート

以下のテンプレートは、異なる場面を想定した出発点である。構造を保ったまま、対象と細部を置き換えて使用できる。

  • A · 親密で暗い抒情(人物の内面 / 休息) 72 BPM, minor, intimate chamber pop, breathy young female voice, celesta + sparse piano + warm upright bass, jazz extended chords, deceptive cadences, tension through texture not volume. [no belting, no bright pop, no autotune]
  • B · 叙事的な管弦楽(ボス / 決戦) epic cinematic orchestral, minor, driving low strings + brass swells + taiko + choir, relentless build, wide dynamics. [no electronic drums, no cheesy fanfare, no early major-key triumph]
  • C · ダークウェーブの環境音楽(探索 / 長夜) downtempo darkwave trip-hop, 85 BPM, dusty broken beat, deep sub bass, detuned pads, distant reverbed murmur, film-noir melancholy. [no EDM drop, no bright synth lead]
  • D · 吟遊詩人的なフォーク(街 / 篝火) warm acoustic folk ballad, fingerpicked lute or guitar, upright bass, soft brushed percussion, modal folk harmony, candle-lit tavern warmth. [no modern pop production, no big drums, no autotune]

四つのテンプレートはいずれも、角括弧のネガティブリストを保持している。これは発生しやすい偏差を事前に除外し、肯定的なStyle記述とともに初期制約を構成するためのものである。

構造設計

  • 円環構造:IntroとOutroに同じハミングを用い、Styleへ [Intro: use the exact arrangement of the outro] を加えることで、楽曲を出発点へ戻す;
  • 懸垂した終結:最後に明確な答えを提示せず、問いをより静かな形でもう一度現して終える。人物によっては、完全な解決よりも未完の状態が物語に適合する。

Sunoのパラメータ設定

現在の設定は Female / Style Influence 70 / Weirdness 30 である。別の調性中心への移行など、効果を事前に確定できない指示については、その指示を含む版と含まない版を生成し、A/B比較を行う。ジャンルについても、室内楽版とダークウェーブ版などを並行して生成し、人物と場面に合うものを選ぶ場合がある。

主な問題と対処方法

  • ヴァイオリンが過度に高い音域へ移るmid-low register only, never shrill を追加し、鋭い高音域の演奏を制限する;
  • カバー画像の拡大で人物の特徴が変わる:忠実な拡大が必要な場合はLanczosなどの非生成補間を使い、生成式超解像による顔の再解釈を避ける;
  • 中国語歌詞の品質が安定しない:英語歌詞はSunoでも比較的処理できるが、中国語歌詞は後工程の大幅な修正を避けるため、自分で記述する;
  • ネガティブリストが主スタイルを弱める:発生しやすい四件から六件の偏差だけを残す。制限を増やしすぎると、肯定的なStyle情報が希薄になる。

結論

Sunoは作曲作業の一部を、音符の直接記述から連続的な設計判断へ移す。人物、感情、編成、ダイナミクス、排除すべき結果をそれぞれ定義する必要がある。ツールは広い生成空間を提供するが、最終成果の識別性は、制約の具体性と選定基準の安定性によって決まる。

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